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「メッシ移籍後のバルサ」に試金石。守備強化路線はバイエルンに通用するか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 ルーク・デ・ヨングはオランダらしいセンターフォワードで、チームプレーに優れ、ポストプレーや高さでポイントを作れる。ただ、セビージャではカップ戦も含めてシーズン10得点がやっと。大手スポーツ紙のWebアンケートではファンの約7割が「活躍しない」と答えている。

 それでもFWは人材豊富と言える。

 まず、メッシの10番を受け継いだアンス・ファティを擁する。ファティはケガの多さが心配だが、その得点センスは群を抜いている。メンフィス・デパイも、ゼロトップとしてプレー可能。ゴールゲッターとしての匂いを濃厚にさせ、チーム得点王候補だろう。現在はケガで調整中だが、マンチェスター・シティから獲得したアルゼンチン代表セルヒオ・アグエロも控える。デンマーク代表マルティン・ブライスワイトは便利屋だ。

 ひとりでシーズン50得点を記録し、チームの攻撃戦術を引き回していたメッシの代役などいるはずはない。束になっても損失を埋めることはできないだろう。ただ、メッシの存在が負担になっていた守備面を充実させることで、戦力的マイナスを補うことはできる。そもそも、クーマン監督は就任直後から守備の立て直しを強調しており、その流れを推進することになるはずだ。

 しかし、その方針転換こそ無理があるとも言える。クーマンの戦術は正論だが、バルサの戦い方はその特殊さによって成り立ってきた。攻守の"アンバランスなバランス"だ。

「90分間、攻撃をし続ける」

 その理想に近づくことで、世界を席巻してきた。儚さも含めてそれが彼らの魅力となり、世界的人気となった。その結果、ラ・マシアからメッシのような超級選手が生まれたのだ。

 クーマン・バルサは、その矛盾に苦しむことになるだろう。守りを強化する人材は乏しい。センターバックだけ見ても、マンチェスター・シティからラ・マシアで育ったエリック・ガルシアを獲得したが、プレミアリーグでは守備強度の低さが理由で場数を踏めなかった。「守りありき」の布陣を作れるような人材がいないのだ。

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