バルサとロナウジーニョの眩しい記憶。置き土産はメッシだった (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 最大に感化された選手は、カメルーン代表サミュエル・エトーだろう。感情の塊のような選手で、在籍時に冷や飯を食わされたレアル・マドリード戦では勝利への渇望を示した。猛り狂ったように走り、GKからボールをひったくり、ゴールを奪った。鋭い勘を働かせる、本能的ストライカーだった。

 ロナウジーニョが結実したのは2005-06シーズンだ。2005年11月、サンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリード戦、左サイドでセルヒオ・ラモスを子ども扱いして抜き去り、ネットを揺らした。翼を授かったようなスピードで相手を置き去りにし、ベルナベウの観客は敵味方を越え、スタンディングオーベーションを送った。

 彼はこの年、バロンドール(欧州最優秀選手賞)を受賞している。リーガを連覇しただけでなく、チャンピオンズリーグでも快進撃を見せ、見事に頂点に立った。すべてを手にしたのだ。

 しかし、そこで彼は変わった。

 あからさまに太り、ナイトクラブに現れる姿が頻発した。生来、自由な男は自己管理が苦手で、それに罪悪感も抱いていなかった。音楽をかけて仲間と騒ぐのが好きなだけだったが、奔放さが行き過ぎてしまう。「軍曹」ヘンク・テン・カーテコーチがチームを去って、慈悲深いライカールトには愚行を許された。

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