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EURO2016、フランス人は愛想を尽かした代表チームを再び愛せるか (4ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper   森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ストライカーのニコラ・アネルカが、監督のレイモン・ドメネクを侮辱したとして代表を追放された。他の選手たちはアネルカを支持し、トレーニングを拒否してチームバスから降りようとしなかった。

 母国のテレビでニュースを見たフランス人は選手たちのことを、甘ったれで愛国心のかけらもない億万長者だと切り捨てた。「恥辱のバス」というフレーズがフランス語に定着した。フランスのフットボール専門家は、人種差別も要因だろうと言った。白人の少ない代表チームに、フランスのファンは感情移入していなかった(今もしていない)。

 理由はどうあれ、2012年の時点では、世論調査で代表がプラスの価値観を表現していると答えた人が3%しかいなかった。現代表監督のディディエ・デシャンでさえ、「今の世代の選手たちは、善悪の区別がわかっていない」と語っている。

 ファンと代表の距離感は、昨年の「セックステープ事件」でさらに遠ざかった。カリム・ベンゼマが、チームメイトのマテュー・バルブエナへの恐喝事件に関わっていたとして逮捕された一件だ。フランスで一番のスター選手であるベンゼマは、今回のユーロを欠場する。

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