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EURO2016、フランス人は愛想を尽かした代表チームを再び愛せるか (2ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper   森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 一方で今回の大会には、これまでになく「シンデレラ」がたくさん集まっている。アイスランド(人口33万人)は、主要大会に出場したヨーロッパの国のなかで最も小さい。アルバニア(同288万人)もデビューする。北アイルランド(同180万人)が主要大会に出場するのは、1986年のワールドカップ以来。ウェールズ(同300万人)にいたっては、1958年のワールドカップ以来となる。

 これら「シンデレラ」のうち、王子さまに巡り会える国がひとつかふたつ、あるかもしれない。逆の見方をすれば、大国が番狂わせで敗れる可能性は、これまでになく高いということだ。

2 ファンがフランスを楽しむ

 僕の手元に1枚の写真がある。日付は1998年7月3日。僕と3人のジャーナリスト仲間(みんな恐ろしいほど若い)が、フランス南部の村サン・ポール・ド・バンスにあるレストラン『ラ・コロンブ・ドール』の美しいガーデンで、ランチを食べている。テーブルには地元の野菜が盛られたバスケットと、ワインクーラーがある。

 レストランの中には、ピカソやマチス、シャガールの絵が飾られている。サン・ポール・ド・バンスは芸術家に愛されたことでも知られる村で、これらの作品は食事代の代わりに置いていかれたものといわれる。

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