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隠居状態の名将ヒディンクがモウリーニョの後任を引き受けた理由 (5ページ目)

  • サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper  森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki

 ヒディンクが2012年に僕に語ったように、彼はもうあくせく仕事をするつもりはない。好きなゴルフをしながら、気ままな生活を送りたがっている。若いころにも1日に13時間働くほうではなかった。それよりはカプチーノを飲みながら、誰かとおしゃべりしていたい。

 監督のなかには、ジョゼ・モウリーニョやルイス・ファン・ハールのように、クラブのことは隅から隅まで支配したがるタイプがいる。ヒディンクは正反対だ。自分でも認めるとおり、彼は周りに任せたがる。

 だからヒディンクは、チェルシーのような近代的なビッグクラブに向いている。フィットネストレーナーからメンタルコーチ、データ分析担当にいたるまで専門スタッフをたくさん雇っているクラブだ。選手の移籍にアブラモビッチが口をはさんでも気にしない。その分、自分の仕事が減るのだから。
(つづく)

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