なんと50人もの日本人選手が在籍しているタイリーグの「実態」 (5ページ目)
2部リーグのBBCU.FCで手腕を振るっている高野剛監督(※)も、現在のタイリーグでは、Jリーグで実績のある日本人だからといって、確かな地位が確保されているわけではない、と話す。
※1973年10月4日生まれ。福岡県出身。2005年からサンフレッチェ広島の育成部門のコーチとなって、ジュニア、ジュニアユース、トップのコーチを務める。その後、イングランドのサウサンプトン、アビスパ福岡のコーチなどを経て、今季からタイ2部リーグのBBCU.FC監督に就任。
「まず、日本人監督に求められていることは、チームに“規律”を植えつけることですね。そのうえで、選手もそうですが、“ある程度できる”ではもう通用しません。圧倒的な差を示して、自分は外国人で『助っ人なんだ』という立場をしっかり理解できていないと、生き残っていくのは難しいでしょう。タイでは、経歴や過去の栄光ではなく、今現在の結果が厳しく評価されます。結果を出せなければ、途中解雇も珍しくはありません」
エージェントとして、東南アジアで数々の日本人選手の移籍を手がけてきた真野浩一氏は、「現在のタイリーグは大きな転換期」を迎えているという。
「世界でも有数の親日国であること、日系スポンサーの多さ、過去の在籍選手が結果を残してきたことなど、さまざまな要因が絡み合って、タイでの日本人選手の需要は拡大しました。しかし今や外国人枠も絞られて、日本人選手でも本当に実力のある者しか生き残れない時代が来た、と感じています。そういう意味では、本当のタイリーグは今シーズンから始まった、と言えるかもしれません」
草創期から変革期に移りつつある中、数多くの日本人が関わってきたタイリーグ。しかし、もはや日本人というだけで重宝される時代は終わった。それはまた、アジアサッカー界における日本の“ライバル台頭”を意味しているのかもしれない。
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