CL制したバルセロナ。今季の真のMVPは誰だ (4ページ目)
この決勝戦を盛り上げた最大の原因は、バルサのその緩い体質にあった。「バルサ絡みの試合は面白い」を実感した一戦と言ってもいい。鉄仮面ではない王者、サービス精神旺盛な王者。言い方を変えれば、せこくない王者、ずる賢くない王者。
緩いのに強い。暢気(のんき)なのに勝ってしまう。この世の中に、なかなか存在しないタイプの王者。僕は、むしろそこに真の強さを感じる。
とはいえシーズン当初は、バルサにCL優勝をイメージすることはできなかった。今季はダメだろう、と思っていた。よいサッカーではなかったからだ。スアレスが復帰し、センターフォワードの座に納まるまでは。
魅力的に映ったのは、ネイマール、スアレス、メッシの3人の役どころが、ハッキリしてからだ。右ウイング、メッシの守備力不足を、スアレスと背後で構えるラキティッチが、いい感じで補い始めてからになる。
スアレスとラキティッチ。この2人がいるかいないかが、昨季と今季の違いになるが、そうした意味では、この補強は大正解だったと言える。新監督ルイス・エンリケが望んだものなのか、たまたまだったのか定かではないが、たまたまだったとすれば、ルイス・エンリケはラッキーだったと言うことになる。決勝戦でも1ゴールずつ決めている。
両者がいなければCL優勝はなかった。この決勝戦でMVPを受賞したのはイニエスタたが、今シーズンを通してみれば、スアレスとラキティッチではないか。僕はそう見ている。
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