CL制したバルセロナ。今季の真のMVPは誰だ (2ページ目)
「勝利と娯楽性をクルマの両輪のような関係で追求すべし」とは、ヨハン・クライフの言葉だが、実際、バルサ絡みの試合は面白い試合が多かった。第三者には歓迎すべき強者と言えた。
この決勝戦でも、その伝統的な気質を垣間見ることができた。1-0でリードした後、彼らは安心するかのようにペースを落とした。開始時のようにアップテンポな戦いをしなかった。勝負師とはほど遠い、緩いサッカーをした。
ユーベは、それを見逃すほどヤワではない。というか、立場が逆なら、ユーベはバルサとは全く違う戦いをしただろう。かつてのミランしかり、モウリーニョのチェルシーしかり。先制点を奪った瞬間、勝負は決したも同然のムードが漂ったものだ。
ルイス・エンリケは現役時代、そんなバルサにあって、1人異なる気質の持ち主として知られていた。勝ちたくて、勝ちたくて仕方のない人を、スペインでは「ガナドール」と呼ぶが、その昔、他のメンバーがこちらに「バルサはガナドールではないクラブだ」とレクチャーしているのを聞きつけた彼は、「違う、違う」と、必死になって否定したものだ。
ところが、そのルイス・エンリケが監督になっても、バルサらしさは健在だった。勝ちたくて勝ちたくて仕方がないサッカーはできなかった。
2 / 5