【イタリア】八百長疑惑でユベントス監督コンテはどうなる? (2ページ目)
一方、FIGC検察部もカロッビオの証言を完全に裏打ちするまでには至らなかったこともあり、当初かけられていた「八百長の不正行為」ではなく「不正を知っていたのにFIGCへの通告義務を怠った」という嫌疑に"軽減"されて規律委員会へ回されることになった。だがこの場合でも、不正行為ほどの長期ではないにせよ、検察部側の言い分が通れば1年前後の出場停止処分が下されることになる。
さて、ここで出てくる用語が『談判』である。これは裁判におけるイタリア独特の判決へのプロセスのひとつで、検察側と被疑者側が合意の上で求刑を裁判所に提出するという形だ。この『談判』により、被疑者には3分の1までの減刑が与えられることになる。
この『談判』にも通常の刑事裁判とFIGCでは解釈に違いがある。刑事事件では被疑者が罪を認めなければ『談判』は成立しない。ところがサッカー界ではそれを認めることなく『談判』に持ち込めるのだ。お互いに決定的証拠を出せないなら、真ん中をとりましょう、という何ともグレーな決着方法である。
自らの潔白を証明したいコンテは、『談判』にすぐさま拒否反応を示し、規律委員会で争うことを希望した。だが、そうしないと無実となる可能性よりも処分される可能性のほうが高いと弁護団に諭され、苦渋の決断を下すことになるだろう。自分のためにも、そして何よりも彼を信じて「解任など論外」と断言し続けてきたユーベのために、長期出場停止処分を受けるわけにはいかないのだ。
『談判』となれば、停止期間は3~4ヵ月(及び罰金)に軽減されると見られている。規律委員会は8月1日にスタートする。その前に弁護団はFIGCの検察部側と会い、『談判』に応じるものとみられている。
停止処分中もコンテは練習を指揮することができる。禁止されるのは、試合中にベンチに座ること(観客席はOK)と、試合前後にロッカールームなど関係者以外立ち入り禁止のゾーンに足を踏み入れることだけだ。選手とともにベンチから試合を戦う熱血監督の不在は痛いが、数ヵ月なら耐えられるとフロント側は踏んでいる。この間、代理監督としてバローニ(ユーベ・プリマベーラ監督)が就くことになりそうだ。
ユベントス側は処分が1日も早く、8月1日から執行されるよう狙っている。11月1日のクラブ設立115周年記念日を、停止処分の解けたコンテとともに祝うためにも......。
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