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【Jリーグ】森島寛晃が驚いたエース西澤明訓の鬼気迫るプレー「表情がまるで違っていた」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【苦楽をともにしたモリシのために】

 試合前日、西澤は報道陣に対してこんなコメントを残していた。

「モリシは今まで4回優勝のチャンスを逃してきた。さすがに5回も負けたらかわいそうだし、僕は3回目。ここできっちり勝っておかないと、一生負け犬になると思っている」

 2000年のステージ優勝を逃しただけではない。セレッソはそれまでに、何度もタイトルに迫りながら勝ち取れなかった歴史を繰り返してきた。

 1994年を皮切りに、2001年、2003年と天皇杯の決勝の舞台に立ちながら、いずれも涙を呑んでいる。1991年に前身のヤンマーディーゼルサッカー部に入部して以降、セレッソひと筋でプレーしてきた森島は、そのすべてを経験している。

「モリシのために」

 長年、苦楽をともにしてきた盟友にタイトルをもたらしたい。西澤のプレーからは、そんな覚悟さえ見て取れた。

 西澤に導かれるように、この日のセレッソは、終了間際に追いつかれた過去2試合とはまるで姿を変えていた。1点を守りきろうという消極的な戦いではなく、ハイプレッシャーを保ちながら、前へと向かっていく。その分、当然リスクはあったが、攻め抜くことで勝利を求めていったのだ。

 20分に鈴木規郎の豪快な一撃で同点とされたものの、誰ひとり下を向く選手はいなかった。その後に獲得したPKのチャンスをゼ・カルロスが失敗しても意欲は失われず、勝ち越し点を奪うために攻めの姿勢を貫いた。

 そして1-1で迎えた後半立ち上がりの48分、再びこの男が大仕事をやってのける。ゼ・カルロスのシュートのこぼれ球は、逆サイドに待ち受けていた西澤のもとへ。頼れるエースは巧みなトラップから右足を振り抜き、鮮やかな一撃をネットに突き刺したのだ。

「もうやるしかない状況でしたからね。球際でしっかり戦えたし、しっかりと点も取れましたから。追いつかれても、もう1回引き離すことができた。アキの2点目で再び勢いが生まれたし、ギアがもう1段階上がった気がします」

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