【Jリーグ】鹿島アントラーズ「最激戦区」ボランチで存在感 三竿健斗が29歳でアップデートしている理由 (4ページ目)
【時にバランスを崩す意外性】
「基本的に狭いコートでポゼッションの練習をしていて、チームとして相手が来ていてもパスを通すし、相手をはがしていくことにずっと取り組んでいます。それをそのまま試合で出せればいいんですけど、今はまだ、試合の独特な緊張感や、パスの出し手が受け手のことを気遣って出さない時がある。
そうしたパスが通っている時は、チャンスになっている回数も多いので、課題は、練習でやっていることを試合でも同じように出すこと。また、自分たちが1点取ったからといって、アンパイなプレーに走るのではなく、時にはDFの背後を狙うプレーも必要ですけど、相手を見ながら、意図した攻撃をやり続けることも大事だと思っています」
鹿島が再び連勝街道を突き進むきっかけとなった第29節の湘南ベルマーレ戦では、62分に左サイドから右サイドを駆け上がる濃野公人に大きくサイドチェンジして、状況を打開した。82分にも相手の攻撃を読み、インターセプトすると、瞬時に鈴木優磨へと縦パスをつけた。いずれもゴールにはつながらなかったが、状況を覆すようなプレーを見せている。
そのプレーは、バランスを意識したセーフティーなものばかりではなく、時にバランスを崩すような意外性──状況を破壊するとでも言えばいいだろうか。
「言わんとしていることはわかりますよ。バランスを取るという意識よりも、もちろん試合の状況を見ながらプレーしていますけど、オニさんが『よく相手を見てプレーしろ』と言うように、相手がやられたら嫌なプレーを考えて選択するようにしています。空いたスペースへのランニングを嫌がるのであればそれを、DFの背後に走ることを嫌がるのであればそれを、やるようにしています」
自分の立ち位置によって味方をサポートし、敵を欺(あざむ)いているように、状況を、相手を見てプレーしている。それはすなわち、先を見据えたプレーにつながっている。
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