浦和レッズのクラブワールドカップを総括 収穫もあったが福田正博はJリーグの今後の課題を指摘
■クラブワールドカップ3戦全敗に終わった浦和レッズだが、福田正博氏はクラブの資金力の差を指摘。また戦い方としても様々な課題があったという。
【硬さの要因は大舞台への慣れ】
浦和レッズのクラブワールドカップへのチャレンジは、世界の強豪相手に3連敗という結果に終わった。グループリーグの初戦でアルゼンチンのリーベルプレートに1対3、2戦目はインテル(イタリア)に終了間際の失点で1対2、最終戦はメキシコのモンテレイに0対4で敗れた。
浦和レッズが臨んだクラブワールドカップ。Jリーグ、日本サッカーとしての課題が見えた大会だった photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 内容に目を移せば、この大舞台で「格上を相手に自分たちができること」を徹底して戦った。日本のクラブチームが世界の強豪クラブと戦う時、選手の質で上回るのは難しい。だからこそ、個ではなく、チーム全体が有機的になるよう規律を守り、ハードワークをすることを浦和も徹底していた。そのなかでしっかりできたこともあるし、もっとレベルを高めるべきこともあったが、こうした戦いを経験しなければ見えてこないものがたくさんあっただけに、今後の浦和にとっての収穫になったはずだ。
クラブワールドカップは、クラブの資金力がモノをいうところが大きい。国別代表のワールドカップとは異なり、クラブに資金力があれば才能のある選手を集められる。実際、クラブワールドカップに出場したクラブのほとんどが、資金面で言えば浦和よりも多くの予算を持ち、各国代表を揃える布陣だった。
他クラブに各国代表の主力選手がゴロゴロ揃うのに対し、浦和に日本代表はいないし、各国代表の外国籍選手もいない。マテウス・サヴィオはいい選手なのは間違いないものの、代表歴はU-20のブラジル代表だけ。世界規格で比べると、見劣りしてしまうのも仕方ない。
そんな浦和にとって、グループリーグの対戦相手は10回対戦して1回勝てるかどうかのレベル差。それでも勝利のために自分たちにできることをチーム一丸となって実践したが、リーベルプレート戦は硬さが抜けない時間帯に、相手にガツンと来られて慌てて失点と、序盤からゲームを難しくしてしまった。
硬さの要因は、大舞台への慣れという部分だ。大きな試合になるほど海外勢は試合の入りでアグレッシブに来る。たとえば日本代表など海外でのプレー経験が豊富な選手たちであればこれに対応できるだろう。しかし、JリーグやACLの経験だけではなかなか対応できないものだ。それでもリーベル戦は、相手に慣れてからは1タッチパスを回しながらリズムも出せていただけに、これを今後につなげてもらいたい。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。