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FC町田ゼルビアのドレシェヴィッチが振り返るストリートサッカー「相手を欺くテクニックや駆け引きも習得」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi

【ストリートフットボールの賜物】

 それはイブラヒモビッチと同じように、ドレシェヴィッチもスウェーデンの移民街のストリートで身につけたものだという。

「間違いなく、ストリートフットボールの賜物だ。僕は少年の頃、放課後はいつも友だちと暗くなるまで通りでボールを蹴っていた。休みの日は朝から晩まで。僕が暮らしていたのは、戦火などを逃れて移ってきた家族やその子どもたちが住む移民街だった。そこで少年たちはフットボールやフットサルに明け暮れていたよ。

 ストリートでは、色んなことを学んだ。プロのフットボーラーになるには、基本的なことを備えるだけでは足りない。ピッチ上で違いを生み出す必要があり、そのためにはイマジネーションが不可欠だ。僕はそうしたものをストリートで身につけた。そこでは何度ミスをしても、叱られるようなことはない。だからクリエイティブになれるし、相手を欺くようなテクニックや駆け引きも習得できた」

 そんな風に守備者としての素養を育んできたドレシェヴィッチは現在、FC町田ゼルビアで国籍の違う仲間に指示を出している。町田のようにプレスを生命線とするチームにとって、フリーになった相手やスペースがあれば、すかさずチャージしたり埋めたりすることが重要だ。そのためには、視野が確保できている後方からのコーチングがカギになる。

 インタビューに英語で受け応えするドレシェヴィッチは、そのほかにスウェーデン語、ボスニア語、そしてオランダ語を少し話すという。イブラヒモビッチ――スウェーデン語、ボスニア語、英語、イタリア語の流暢な話者だ――と同じマルチリンガルだ。日本語については「チョット、チョット」とビギナーレベルのようだが、実際にチームメイトに指示を送る際は、どうしているのだろうか。

「チームメイトのなかには英語を理解する選手も少しいるので、英語を使うこともあるけど、そうでない場合は覚えた日本語を使う。右、左、前、後ろといった基本的な単語だよ。僕はあまり大きな声を出すほうではないけど、コーチングはチームのためになるので、不可欠な仕事だと思っている」

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