2024シーズンのJリーグは見どころが多いと福田正博「選手の大幅な入れ替え」「監督の手腕」「20チームの争い」 (3ページ目)
【町田は台風の目になる可能性】
もう一つ、今シーズンの見どころとして挙げたいのは、J1が20チームに増えるという点だ。昨季の18チームから横浜FCがJ2に降格し、J2からはFC町田ゼルビア、ジュビロ磐田、東京ヴェルディが昇格してきた。
東京ヴェルディは、Jリーグ創設時の躍動を覚えている人たちにとっては、懐かしい名前がようやくJ1に戻ってきたという印象だろう。当時とは異なり今季は残留がテーマになるなか、どんな戦いを見せてくれるのか。FC東京との「東京ダービー」が16年ぶりにJ1で見られるのは楽しみでもある。
ジュビロ磐田は、GKに川島永嗣が加わっている。横内昭展監督とはカタールW杯でコーチと選手の関係で共闘した。川島が試合にどれだけ出られるかはわからないが、海外でプレーを続けた元日本代表守護神がピッチ内外でチームに与える影響は小さくないはずだ。若い選手が多いチームだけに、その存在感に注目している。
町田は、台風の目になる可能性があると見ている。青森山田高校を常勝チームにした黒田剛監督が就任1年でJ1昇格を達成し、このオフも圧倒的な補強を展開してきた。GK谷晃生(←ガンバ大阪)をはじめDF昌子源(←鹿島)、MF仙頭啓矢(←柏レイソル)、MF柴戸海(←浦和)など、J1での実績豊富な選手を獲得して選手層に厚みを増している。
Jリーグは2017年からDAZNとの放映権契約を結んでいるが、これによって順位に対する分配金に格差がつき、ヒエラルキーの明確なリーグへと姿を変えるかと思われた。
しかし、このシーズンオフの各チームの補強への取り組みを見ると、まだまだ戦国Jリーグが続くのでは思うほどだ。これまでどおり、上位から下位までどこが勝っても不思議のないリーグ戦が繰り広げられるのか、今シーズンの行方をしっかり見届けたい。
福田正博
ふくだ・まさひろ/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
著者プロフィール
津金壱郎 (つがね・いちろう)
フリーランスライター・エディター。大阪万博年生まれ。東京都出身。出版社での雑誌やMOOKなどの編集者を経て、2000年からフリーランスに。スポーツクライミングの取材歴は2013年から。近年はMリーグにハマっている。
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