サッカーの審判にとって「関西のリーグが日本一厳しい」と思う理由を元プロの村上伸次が語る (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【メンタルの強さは選手以上に必要】

――いまは10代で審判員を目指す人は多いんですか?

 増えていると思います。高校生で2級審判員を取得する方もいます。レフェリングを勉強する意欲は相当なもので、とてもうれしく思います。将来国際審判員になるために先輩レフェリーを追い越す勢いで試合を担当しています。

――やはりJFAしては国際審判員を担えるくらいの人材を発掘したいわけですよね。

 国際審判員になるには、基本的に35歳までに、という年齢の制限があるんです。今は25、26歳でAFCのレフェリーアカデミーに入って国際審判員を目指すので、世界には30歳以下の国際審判員は結構います。だから若い人材を発掘して、日本もそこに乗っかっていかなければと思っています。私も本当は国際審判員になる予定だったんですけど、年齢の面でだめでした。

――現在の立場で現場をよく見るようになって、どんなところに課題を感じていますか?

 若いレフェリーが試合をさばく時は、どうしてもそのレフェリーよりも年上の監督だったり、コーチだったりがいるわけじゃないですか。そういう状況でいろいろな声がかかりますよね。若いレフェリーだと、そういう声に負けてしまう場面が見られるんですね。

 メンタルというひと言では片づけられないんですけど、やはりそちらのトレーニングもしていかなければと思います。技術だけじゃなくてメンタルも必要というのは、選手と同じか、もしかしたら選手以上に強さは必要かもしれないですね。そこは課題だと感じます。

――確かにレフェリーは大勢を相手に1人でさばくわけですから、メンタル面はかなり求められますよね。

 関西はとくに面白いと思いますよ。日本一厳しいリーグかもしれないです(笑)。プレーヤーが後半に動けなくなってくると、言葉(関西弁)の数が増えてきたりしますから(笑)。「なんでやねん!」「ファウルちゃうやろ~!」「ええジャッジしてくれてありがとう!」など。

――でもそうした環境で試合をさばいていく経験は、試合を落ち着かせるためのいいトレーニングになりそうですね。

 そうなんです。だからそういう試合を若いレフェリーには積極的にやってもらいたいんですよね。私も若い頃は結構言われました。でもそこでシュンとなるのではなくて、ブレない自分をどう作り出すかが大事だと思います。

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