サッカーの審判にとって「関西のリーグが日本一厳しい」と思う理由を元プロの村上伸次が語る (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

【レフェリーは1人でトレーニングしなければならない】

――発掘という目線で見るようになってなにか発見はありました?

 今の若い子たちは知識がものすごくあるんですね。それこそ私よりもあると思います。プレミアリーグやラ・リーガなど、世界のトップリーグの映像を本当によく見ていますね。ただ、その豊富な知識に対して、まだ技術が噛み合っていないんです。そこにいかに気づいて、自分のレフェリングにしていくか。それが関西エリアを回って一番感じたところですかね。

――まだまだ技術のレベルが追いついていないわけですね。

 ただ、技術を伸ばすと言ってもサッカーのプレーヤーとはちょっと状況が違うんですよね。プレーヤーであれば監督やコーチが見てくれたり、課題があってそれに対して自主練をしたりってありますよね。でも基本的にレフェリーは試合以外ではひとり。だからトレーニングもひとりで、日々の練習を見てくれるコーチはいないわけです。

 そうしたなかで、全部の試合ではないんですが、レフェリーを見てくれるアセッサー・インストラクターがいます。90分間のレフェリングを見て「こういうところがよかったね、でもここは直したほうがいいよ」とか「こういうトレーニングをすれば、動き方がこう変わるよ」といったアドバイスをするんです。

 アドバイスを受けたレフェリーはそれを持ち帰って、またフィジカルや動き方のトレーニングをひとりでする。そういう指導体制にはなっています。

――発掘や指導という視点では、レフェリーのどんなところを見ているんですか?

 みなさんがレフェリングを見る時は、やっぱり判定が合っているかどうかだと思うんですね。でもそこはあくまでも結果で、私はその前のところが大事だと思っています。予測の初動動作、どうポジション(判定のアングル)を取っているか。そこを追求しないといけないんです。

 その点は若手のレフェリーによく指導しているんですけど、1年ちょっとやってきてようやく変わってきましたね。

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