清水・乾貴士(35歳)がトップ下で輝きを取り戻した! ピカイチの技術でエスパルスをJ1昇格に導く (2ページ目)
【乾のボールは決して暴れない】
果たして、秋葉監督就任後の清水は攻撃力を爆発させていく。乾が1トップの後方をスタートポジションとしながら、中盤へ落ちたりサイドへ流れたりしながら、ビルドアップから崩しにまで関わる。ボランチとサイドハーフ、サイドハーフと1トップ、ボランチと1トップを連結させる立ち位置を取り、ボールの動きをスムーズにしていくのだ。
攻撃の矢印が縦に太い時間帯は、意図的にペースを変える役割を担う。「前ばかりだと、ちょっとしんどくなるので」と説明するが、ゲームコントロールは絶妙である。
ポジション変更直後には「トップ下でどれだけ勝負できるか。どれだけうまくできるかを求めています」と話していた。2列目のタレントは豊富だが、序列の最上位は乾で揺るがない。
7月5日に行なわれたJ2第24節で、清水はベガルタ仙台に3-0で快勝した。J1昇格候補の一角にあげられる相手とのアウェイゲームで、乾は圧倒的なクオリティを見せつける。
パスを受ける前に戦況を把握しているので、決して慌てることがない。味方からのパスが少しぐらい乱れても、技術でカバーできるから力んだりもしない。身体が無駄な力に包まれていないから、正確な技術を正しく発揮できる。
この日は試合前から雨模様で、前半開始からは雨がピッチを叩いた。パススピードが上がっていくコンディションだが、乾の足もとでボールが暴れることはないのだ。
清水は11分に先制した。そのきっかけとなる左CKは、乾の仕掛けで得たものだ。
19分には乾自身がネットを揺らす。北川のパスカットからショートカウンターが発動され、ペナルティエリア内でパスを受けるとワンタッチで流し込んだ。
「(北川)航也がいい形でインタセプトしてくれて、そこからのショートカウンターでいいボールを出してくれたので、あとはGKの動きを見て決めることができました。ちょっと当たりは悪かったんですけど、GKの逆へしっかり狙って決められたのはよかったです」
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