36歳・興梠慎三の味わいあるプレー 浦和を牽引し「J1通算500試合出場」
埼玉スタジアムでは今季最多となる4万9108人の観衆が詰めかけた一戦は、ホームの浦和レッズ、アウェイのFC東京ともにゴールに迫る機会が少なく、見どころに乏しいスコアレスドローに終わった。
もっとも、浦和はこれで10試合負けなしで4位をキープ。20節を終えて首位の横浜F・マリノスに勝ち点6差と、優勝争いに踏みとどまっている。
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【負けないor勝ちきれない?】
"負けない浦和"の肝となっているのは、相手に隙を与えない組織的な守備だろう。ここまで15失点は、ヴィッセル神戸の14失点に次いでリーグで2番目の少なさである。
なかでも際立つのは、アレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンの2CBの存在感だ。在籍3年目を迎える前者はすでにその実力を証明済みだが、今季加入した後者も甘いルックスとは裏腹に、圧巻の対人能力と高精度の左足を駆使し、遜色ないパフォーマンスを続けている。
この日は、彼らと4バックを形成する右サイドバックの酒井宏樹が開始早々に負傷交代するアクシデントに見舞われた。しかしリーグ最強とも言える2CBは90分間、一分の隙を見せることもなく、直近6試合で7ゴールを記録している相手FWディエゴ・オリヴェイラを完全に抑え込んでいる。
一方で10試合負けなしながら、その半分が引き分けだ。うち4つがスコアレスドローと"勝ちきれない浦和"の原因は、やはり得点力不足に尽きるだろう。
ここまで27得点はリーグ7位。とりわけ少ないというわけでもないものの、優勝を争うには物足りないと言わざるを得ない。この日も決定的なチャンスは数えるほどで、今季8度目の無得点に終わった。
「立ち上がりから自分たちのリズムを見つけることができなかった試合でした。かなりナーバスになっていたと思います。ビルドアップのスピードが上がらず、相手にとって予測しやすいものになってしまった」
マチェイ・スコルジャ監督が振り返ったように、浦和の攻撃からはさしたる脅威を感じることはできなかった。
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著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。