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36歳・興梠慎三の味わいあるプレー 浦和を牽引し「J1通算500試合出場」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Image

【興梠に代わるタレントは?】

 その原因について、指揮官は「前線の動きの少なさ」を挙げる。

「選手がポジションをスイッチしながら、ローテーションするような動きがあまりなかった。そこは私にとって少し驚きでした」

 想定外のパフォーマンスに終始した浦和のなかで、唯一可能性を感じさせたのは興梠慎三だった。

 この日、J1通算500試合出場を達成した稀代のストライカーは、老獪な動き出しで相手守備陣に揺さぶりをかけると、14分にはポスト直撃の決定的なシュートをお見舞い。30分にも「あわや」という場面を迎え、前半終了間際にはサイドでボールを引き出し、関根貴大のミドルシュートを導いた。

 後半になっても、興梠はスペースへの飛び出しや力強いポストワークで時間を生み出す。66分にピッチを退くまで、質の高いパフォーマンスを保っていた。

 その一方で、身体を張った相手の対応に苦しみ、フィニッシュに持ち込めない場面も見られる。36歳のベテランに全盛期のプレーを求めるのは酷だろう。

 かといって、興梠に代わるタレントが不在なのも事実。今季加入したホセ・カンテは徐々にフィットしつつあるものの、まだ信頼を掴みきれていない状況だ。

 ストライカーの人材不足は浦和に限った話ではないとはいえ、計算の立つ得点源がいるといないとでは、大きく変わってくる。過去の優勝チームを振り返っても、確たるエースの存在はあった。

 もちろん昨季の横浜F・マリノスが証明したように、組織を重視する現代サッカーではひとりの点取り屋に依存しなくとも、攻撃的な戦いを実現できる。そのためには、2列目の得点力が求められるのだが、現状の浦和にはその要素も不足している。

 6月シリーズの日本代表に選出されたボランチの伊藤敦樹は、端的に課題を口にした。

「今季は得点を取れない試合がけっこうありますけど、そういう試合で共通しているのは、裏への抜け出しが少なかったり、単発になってしまったりすること。そういう課題が今日も出てしまった。

 点が取れる試合では、ボールがサイドに入った時に、自分が裏に抜けたりして、そこからのクロスだったりという形が作れている。だけど、今日はそういうシーンがほとんどなかったので、チャンスも少なかった。やっぱり動きの少ない時は、点が取れていないなと感じます」

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