清水・乾貴士(35歳)がトップ下で輝きを取り戻した! ピカイチの技術でエスパルスをJ1昇格に導く

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by Getty Images

【同い年の遠藤康から見た乾】

 選手のクオリティを知る材料として、対戦相手の皮膚感覚はわかりやすい。仙台の遠藤康が試合後に明かした。

「清水は強いなと思いました。いい選手が揃っているし、個の能力も高いし」

 テレビカメラのフレームから外れると、「乾、うまかったしね」と続けた。ふたりは1988年生まれの同級生である。J1の鹿島アントラーズで数多くのタイトル獲得に貢献した仙台市出身のMFは、「乾のセンス、すごいなと。自分ももっとうまくなりたいなって思った。刺激をもらいました」と、自分に言い聞かせるように話した。

 乾自身も「楽しくやらせてもらっています」と言う。

 トップ下で起用されるようになってから、「楽しく」という言葉がしばしば聞かれるようになった。「秋葉監督からは自由にやれと言われていて、そのとおり自由に動き回ってやらせてもらっているので、ホントに楽しくできていると思います」と、表情に充実感をにじませる。

 自由には責任が伴う。全面的な信頼を得ているからこそ、乾は結果を厳しく受け止める。

「自由にやらせてもらっているぶん、勝敗に対する責任はすごく感じています。負けたら自分の責任という意識でやっている。もっともっとチームを勝たせられるようにしたい、と思っています」

 ディフェンスの局面でのハードワークは、責任感のはっきりとした表れである。攻撃から守備への切り替えでは1トップの選手と横並びになり、前線から規制をかけていく。素早いプレスバックで相手のカウンターを抑止する、プレスをかけている選手に加わってボールホルダーを挟み込む、といった動きも自らのタスクとしているのだ。

 トップ下を任されているのだ。チームを勝たせるためには、ゴールやアシストも記録していかなければならない。

「得点とかはそこまでは気にしていなくて、誰が取ってもいいと思っているんです。そのサポートはしていきたいですけど」と話すが、24節終了時点で5ゴール6アシストをマークしている。合計11ゴールへの関与はチームトップで、総得点のほぼ4分の1に相当する。

 数字もキッチリ残している。ラストパスのひとつ手前のパスも多い。数字に刻まれない貢献度も高いのだ。

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