FC東京は監督交代で攻撃的になるか カギは相手ボール時の対応と渡邊凌磨の多機能性

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishuku Torao

 決して派手なプレーを見せるわけではないが、そのチームのキャラクターを体現する、なくてはならない選手。監督交代でキャラクターを変えつつあるように見えるFC東京にも、そんな選手がいる。

 アルベル・プッチ・オルトネダを解任、新監督にピーター・クラモフスキーを招聘したFC東京。7月1日の柏レイソル戦はその就任2戦目だった。

 アンジェ・ポステコグルー時代の横浜F・マリノスでヘッドコーチを務めていたクラモフスキー。攻撃的サッカーの信奉者として知られるが、就任初戦の名古屋グランパス戦、そしてこの柏戦も、ボール支配率では相手に上回られた。

 名古屋の長谷川健太監督と言えばFC東京のアルベル監督の前任者で、アルベルよりも後方待機型のサッカーとして知られる。その名古屋に支配率で劣った。柏はこのFC東京戦まで18戦して2勝しかしていない17位に沈むチームである。データ的にはFC東京は攻撃的サッカーには映らない。

 だが、クラモフスキーのサッカーは、長谷川監督時代、そしてアルベル監督時代より前方への圧力が効いていた。高い位置から網はかかっていた。名古屋に2-0。そしてこの柏戦も1-0。FC東京が監督交代を機に連勝した理由を垣間見た気がする。

 サッカーはある意味でより今日的になった。まだ2試合を消化した段階なので、半分疑ってかかる必要はあるが、いいボールの奪い方をしていたことは事実である。優れていたのは相手ボール時の対応だった。

 柏戦。パッと見、躍動して見えたのは、左ウイングとして先発した俵積田晃太だった。弱冠19歳の右利きのドリブラーである。ディエゴ・オリヴェイラが頭で決勝ゴールを決めた前半35分のシーンでは、左サイドからクロスボールを送り込み、アシスト役を演じている。三笘薫を彷彿とさせる縦抜けドリブルも決めた。

監督交代後の2連勝に貢献した渡邊凌磨(FC東京)監督交代後の2連勝に貢献した渡邊凌磨(FC東京)この記事に関連する写真を見る しかし、相手ボールの対応に優れる新生FC東京のサッカーに照らすと、右ウイングとして先発した渡邊凌磨をむしろ推したくなる。マイボール時、特筆に値するプレーを見せたわけではない。あえて言うなら後半8分、ディエゴ・オリヴェイラとのワンツーで抜け出し、相手ゴールに迫ったシーンぐらいかもしれない。

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