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レッズでの引退を決めている興梠慎三の覚悟「100%でできるのはあと1、2年」「悔いが残らないように初めて自主トレもやった」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 興梠は若手や中堅に苦言を呈するが、現状、浦和の攻撃ではどういった点が物足りないのだろうか。

「もっと怖がらずに前にボールを入れてほしいな、と思いますね。自分が中盤まで降りてボールを引き出さないと、いい攻撃ができない。リスクを負って前にボールを入れてくれれば、もっとスムーズに攻撃できると思うんです」

 興梠は自分にボールを集めてゴールを決めさせてくれ、と言っているわけではない。むしろ、逆だ。彼のプレーを見ている限り、"自分が自分が"というふうには見えない。ストライカーの多くは"自分が決める"というスタンスを曲げない選手が多いが、興梠自身、自らのことを「何がなんでも自分が点を取って勝つ、というスタイルではない」と語る。

「僕は昔から『自分が点を取ればいい』という考えはないんです。もともと鹿島アントラーズに加入した時、中盤でプロになったので、ゲームを組み立てたり、ゴールよりもアシストするほうが好きだった。僕がどん欲にゴールを狙っているシーンとか、あまりないでしょ?(笑)

 そうは言っても、サポーターに求められているのはゴールだと思うので、その期待には応えたいですが......。今は中盤に深く降りていかないとゲームを作れていない状況があるので、ゴール前になかなか入れない。自分としては、ちょっと歯がゆさを感じています」

 開幕しておよそ1カ月半、チームとしていい攻撃の形はそれほどできていない。「初めまして」という選手が多いなか、連係を深めていくにはどうしても時間がかかる。

「今はまだこの時期なので、監督がやりたいサッカーができていないと思いますが、監督自身は選手ひとりずつ『コンディションはどうだ』とか、しっかりとコミュニケーションを取ってくれる。ボールを失わないように戦うなか、イージーミスがなくなれば、いいサッカーができると思うので、この監督についていけば、勝ち点をしっかりと拾っていけると思います」

 リーグ戦では2006年以来、タイトルから遠ざかっている。それを獲得するために興梠は浦和に戻ってきた。

 にもかかわらず、興梠はシーズン前に「自分がいいプレーができるのは、この1年ぐらい」と語った。まるで今季限りでの引退を匂わすような発言は、周囲を驚かせた。

「無理が利かなくなってきているのは、あります。今までだったら、『届いていたのに』『キープできていたのに』というボールを(相手に)取られるとか、一瞬のスピードが落ちたなというのもあります。それでも今は、なんとかできていますが、これがなんとかできなくなったら終わりですね。

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