レッズでの引退を決めている興梠慎三の覚悟「100%でできるのはあと1、2年」「悔いが残らないように初めて自主トレもやった」 (4ページ目)
僕が若かった頃、鹿島では(小笠原)満男さん、(中田)浩二さん、本山(雅志)さんらがプレーしていたんですが、試合の展開や時間によって、行くところ、ゆっくり回すところと、(自分たちが)やるべきプレーにメリハリをつけてくれて、チーム全体として90分間で勝つためのプレーができていた。
今のレッズは若い選手が多いこともあって、全部前に行ってしまう。そうなると、体力が消耗して、大事なところで攻撃の質が落ちてしまう。試合展開によって、考えてプレーできる選手がもっと出てくれば、安定して勝てるようになると思います」
そのためには、鹿島における小笠原や中田といった存在が必要になるが、今の浦和でその役割を果たすのは、西川、酒井宏樹、興梠らとなる。
「シュウちゃんは昨年、キャプテンで年長者だし、チームも苦しんでつらかったと思います。何度も連絡がきて『慎三、戻ってきてくれ』って何度も言われました。今年は、自分が戻ってきたし、宏樹がキャプテンになった。僕らがうまく(チームを)リードしていければな、と。
宏樹はプレーの面でもガンガン前に行くし、そういう選手があと2、3人出てくると、もっとアグレッシブで、いいサッカーができるかなと思います」
勝者のメンタリティーは、経験豊富なベテラン選手の背中と、優勝争いからそれを手にしたチームが得られるものだとしたら、浦和には興梠という貴重な伝道者がいる。若い選手たちがその背中を見て成長し、優勝争いに最後まで喰いついていけるかどうか。
そして、それを実現できた時、興梠はどういう決断をするのだろうか――。
(おわり)
興梠慎三(こうろき・しんぞう)
1986年7月31日生まれ。鵬翔高卒業後、2005年に鹿島アントラーズ入り。2008年には主力となって、数々のタイトル獲得に貢献する。2013年に浦和レッズに移籍。前線の起点として、また得点源として活躍した。その間、2016年リオデジャネイロ五輪にオーバーエイジ枠で出場。2022年に北海道コンサドーレ札幌へ期限付き移籍して、今季浦和に復帰した。
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