ヴィッセル神戸、大迫勇也が別格の働き イニエスタぬきで守備は強固に→5試合わずか2失点で首位キープ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Kyodo news

【ボール支配率で下回っても...】

 前半22分の先制点も個が目立った。初先発の機会を得た泉が、左サイドからカットインして相手選手のマークを突き放すと、思いきりよく右足でシュート。これがわずかに相手の足を掠めて軌道が変わり、ゴールネットに収まった。

「カットインからのシュートは得意で、ずっとやっていた。とにかく結果を出して、スタメン争いをしないと、とは思っていたので、ゴールはよかったですが、それ以外は足りないことばかり」(神戸/泉)

 競争力の高さは明白だろう。結局のところ、サッカーはひとりの選手が戦術を動かし、作り出すところもあるのだ。

 その点、神戸はアンドレス・イニエスタの処遇が気になるところだ。イニエスタがスペインに一時帰国したことにより、神戸の守備は昨季から好転した。全員がプレッシングの感覚を共有できるようになって、一本筋が通った。イニエスタがいた場合、その肉体的消耗を考慮し、戦術的に前からボールを追う行為を最小限にせざるを得ない。浦和戦のように、ボールを持たされる展開になると、難も見えるのだが......。

 その点で、ボールを握りにくる鳥栖との噛み合わせは、悪くなかった。ボール支配率では鳥栖の57%に対して43%と下回ったが、シュート数は相手の3本に対して14本と大きく上回っている。後半3分、相手クリアの跳ね返りを拾った大迫はゴールほぼ正面からシュート。後半34分、左CKから大迫が2人に挟まれながら競り勝って、ヘディングを飛ばした。ボールを持っていなくても、ゴールに迫った。

 神戸も苦しい時間はあった。前半の序盤、後半、鳥栖に富樫敬真が入って負傷後退するまでの10分弱、さらに終盤、交代で入った堀米勇輝が躍動した約10分間。個人が「仕組み」を旋回させた鳥栖に対し、神戸は後手に回っていた。しかし、その劣勢をどうにか凌いだ。

「前にいる迫さん(大迫勇也)とか、(コースの)切り方もうまいんで、あえてスペースを空けながら、狙って潰しにいくこともできるので、そこは考えてやっていますね」(神戸/齊藤)

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