横浜F・マリノス開幕戦勝利の陰の立役者は角田涼太朗。希少な「右SBもできる左利きCB」は要注目 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishuku Torao

 後半の15分ぐらいまで激しかったマルシーニョの縦突破は、時間の経過とともに影を潜めていく。その激しいアクションは角田の多機能性の前に鎮められることとなった。

 この横浜FMの1-2の勝利を語る時、そこが一番のポイントだと筆者は見る。昨季の1位対2位の対戦という試合の重さを考えれば、角田を開幕週のマン・オブ・ザ・マッチと讃えても構わない。

 とはいえ、多機能性は選手が勝手に発揮するものではない。監督のアイデアが先になる。選手の多機能性を見極めるマスカット監督の監督力に、角田は育てられているとの見方もできる。だがその定位置は左のCBだ。ライバルはエドゥアルドになる。昨季エドゥアルドのスタメン出場が21試合であるのに対し、角田は12試合。その序列が今季の開幕戦では崩れたわけだ。

 今後はどうなのか。スタメンの数で勝ることが日本代表への道でもある。右SBも可能な23歳の左利きのCBに目を凝らしたい。

プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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