知念慶はフロンターレにいたら「選手として終わっていくなって」アントラーズ移籍を伝えた家長昭博からは「心に響くメッセージ」が届いた

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

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知念慶(鹿島アントラーズ)インタビュー前編

 水色から深紅へ──。

 知念慶が川崎フロンターレから鹿島アントラーズに移籍した決意を語る。それは、決意というにはいささか安易で、むしろ心根と表現したほうがいいだろう。

「スタメンで試合に出たい、チームの主力になりたいという思いも少なからずありましたけど、もっと自分自身が精神的に強くなりたかった。そうじゃなければ、選手として、このまま終わっていくなって思ったんです」

フロンターレからアントラーズに移籍したFW知念慶フロンターレからアントラーズに移籍したFW知念慶この記事に関連する写真を見る 2020年の1年間、大分トリニータに期限付き移籍したが、愛知学院大学を卒業して加入した川崎では5シーズンを過ごした。

「フロンターレで5年過ごし、チームメイト、スタッフ、環境にも馴染めていて、すごい居心地がよかったんです。その居心地のよさが、逆に自分の気持ちをもマンネリ化させてしまっていたというか......」

 加入した2017年に、川崎はJ1で初優勝を飾った。そのルーキーイヤーはリーグ戦4試合1得点の成績に終わったが、川崎がJ1連覇を達成した2018年はリーグ戦27試合に出場して4得点の数字を残した。

 期限付き移籍から復帰した2021年もリーグ戦22試合に出場して4得点を挙げると、再びJ1優勝に貢献した。2022年の昨季はリーグ戦27試合に出場して7得点と、自身にとってキャリアハイとなる記録を叩き出した。

 毎年のように優勝争いを繰り広げるチームで着実に出場数を増やし、ストライカーの指標となる得点数も伸ばしていた。

「ある程度は試合に絡めるけど、完全にスタメンの座は掴めてはいないというか。1軍というよりも、1.5軍のような立ち位置が毎年続いていました。そうした状況のなかで、その環境に慣れてしまっている自分がいた。

 本来は、その立ち位置に対して葛藤したり、もがいたりしなければいけないと思うんですけど、試合に出れば1試合1試合に対する課題はありながらも、自分が置かれている状況に対しては、別に何も思わなくなっている自分がいました」

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著者プロフィール

  • 原田大輔

    原田大輔 (はらだ・だいすけ)

    スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。

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