川崎フロンターレ、王座奪還への必須条件。鬼木達監督が新キャプテン・橘田健人に伝えたこと (3ページ目)
【鬼木監督からもらった言葉】
王座奪還を目指すチームは、培ってきた攻撃への哲学を変えることなく、システムも含めて新境地にトライしている。
「今シーズンも鬼さん(鬼木達監督)が言い続けている、球際の強さ、攻守の切り替えを大切にしていることに変わりはありません。そのうえで見ている人が楽しいと思ってくれるようなサッカーを僕らもしたい。
それはなにかと言えば、圧倒的な守から攻への切り替えの速さ、ボールを奪ってからゴールに迫る速さだと思っています。新しいことにもチャレンジしていますが、それ以上に球際の強さといった勝敗を左右するプレーは昨季以上にこだわって、もっともっと基準を上げていければと思っています」
キャプテンとしての頼もしい言葉は、目標にも表れている。
「昨季は本当にひとつもタイトルを獲ることができずに、クラブとしても個人としても、ものすごく悔しい思いをしたので、今シーズンはJ1リーグのタイトル奪還を第一の目標にして、すべてのタイトルを獲れるようにしたいと思っています」
鬼木監督からキャプテンの就任を打診された日、もうひとつ、言われたことがあった。
「チームが優勝するためには、健人自身が成長することが必要だと思っている」
目に見えるものとしては、左腕に腕章を巻くだけかもしれない。だが、キャプテンマークを巻き、先頭を歩くことで、重圧も感じれば、責任も増す。その自覚がきっと、プレーにも表れていく。
「だから自分自身が選手として成長しなければいけないと思っていますし、その結果、チームを優勝に導くことができればと思っています」
かつて、そのマークを左腕に巻いた先輩たちがそうだったように──。
【profile】
橘田健人(たちばなだ・けんと)
1998年5月29日生まれ、鹿児島県霧島市出身。神村学園→桐蔭横浜大学を経て2021年に川崎フロンターレに加入。ルーキーイヤーから存在感を示し、シーズン終盤にはアンカーのポジションでレギュラーに定着。2年目もリーグ戦32試合2得点とチームに欠かせぬ主力となり、2023シーズンからキャプテンに就任する。ポジション=MF。身長169cm、体重68kg。
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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。
佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
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