J1参入プレーオフの謎。ファジアーノ岡山が完敗し、再び繰り返された「3位の悲劇」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 今季の岡山はJ2で20勝を挙げ、積み上げた勝ち点は72。一方の山形は17勝で、勝ち点64だ。言うまでもなく、岡山の成績が上回る。

 加えて言えば、両者の直接対決は、岡山が2勝。相性の悪さも感じられなかった。

 それでも起きた番狂わせ。その結果に大きく影響していたのは、シーズン終盤から続く勢いの差と、精神状態の違いではなかっただろうか。

 最終順位では岡山が上位でも、シーズン最終盤である10月の成績だけを比較すると、岡山は4試合を戦い、1勝3敗。対して山形は5試合を戦い、2勝3分け。しかも、岡山が2連敗でリーグ戦を終えた一方で、山形は2連勝フィニッシュ。最後の最後に逆転で6位に滑り込んでのプレーオフ進出だった。

「最後、数試合になる時も十分2位を狙える可能性があった。そこまでたどり着けたことはよかったが、そこをもう一歩打破するための力が、自動昇格の2チームに比べて足りなかった」

 そんな言葉で長いシーズンを振り返った木山監督は、こうつけ加える。

「2位を目指した分、最終的に少しパワーダウンしたのは否めない」

 一時は、J1自動昇格を果たしたアルビレックス新潟、横浜FCに勝ち点で離されながら、そこからの猛追で再び自動昇格の可能性をたぐり寄せた岡山。だが、皮肉なことに、その粘りが結果として失意を生み、プレーオフを戦ううえでは足かせになってしまったのかもしれない。

 木山監督は、「2位を目指していたなかで、ちょっと届かないかなと思う瞬間もあった」と言い、「(自動昇格が難しいならば)プレーオフを目指して、いろんなことをやれる可能性もあった」と振り返る。

「最後まで2位の可能性があった。心理的なものも含めて、最後5試合は見ていて非常に難しかった。チームは人間の集合体。心の移り変わりは少し見てとれた」

 そして悔しい幕引きについて、「今日の試合だけに関して言うと、山形には勢いと実力があった」と認めたうえで、こう続けた。

「(J1参入プレーオフの)歴史のなかで3位のチームが勝てないのは、そういう(勢いの差の)ところにあるのか......。そこは何とも言えない」

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