鈴木優磨は日本代表に執着しない。「俺みたいなサッカー選手がいてもいいと思いません?」 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

突き刺さった岩政大樹の言葉

「監督から要求されたことをやらなければ、やらなければと思っていた時に、大樹さんから『今のお前はただの労働者になっている。サッカーを楽しんでいないだろ?』って言われたんです。その時たしかに、今の自分は監督に求められたことを一生懸命やろうとしているだけだなって思ったんです。

 それは本当に自分が目指している姿なのか、ということは考えさせられましたし、サッカーの最大の魅力である楽しさを忘れてしまっているような気がしました。そのことに気づかせてくれた大樹さんの言葉は、これからも自分の心に一生残っていくものだと思っています」

 過去があるからこそ、新しい歴史を築いていくこともできる。ただひとつ言えるのは、新しいアントラーズを築いていくのは、今の選手たちである。そして、鈴木優磨のような選手がいてもいいのではないだろうか。それもまたJリーグが、鹿島が歴史を紡いできた証だ。

「リーグ戦も最後まであきらめないで戦いますし、天皇杯も残っている。優勝する可能性があるタイトルを必ず鹿島の歴史に加えたいので、ここからまた苦しい時期があったとしてもブレずに、自分たちの目標に向かってやっていければと思います」


【profile】
鈴木優磨(すずき・ゆうま)
1996年4月26日生まれ、千葉県銚子市出身。小学1年から鹿島アントラーズのスクールに通い、ジュニアユース→ユースを経て2015年にトップチームに昇格。2018年にはクラブ初のACL優勝に貢献し、大会MVPにも選出される。同年11月、日本代表メンバーに初選出されるもケガのために辞退。2019年7月、ベルギーのシント・トロイデンに移籍を果たし、2020−2021シーズンには17ゴールを記録する。2022年、古巣の鹿島に2年半ぶりに復帰。ポジション=FW。身長182cm、体重75kg。

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