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鈴木優磨は日本代表に執着しない。「俺みたいなサッカー選手がいてもいいと思いません?」

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

鹿島アントラーズ・鈴木優磨インタビュー(後編)

 瞬時に質問の意図を理解して、言葉を発するのは、ストライカーとしての嗅覚とでも言えばいいだろうか。感覚の鋭さには、こちらも驚かされるほどだった。

 インタビューも終盤に差しかかり、どうしても聞かなければいけないテーマがあると伝えた時だった。鈴木優磨はニヤリと笑うと、自ら言った。

「日本代表?」

 こちらがうなずくと、さらに察した彼はこう続けた。

「そんなに思いはないですよ。それよりも、自分はクラブでの成功をより願うタイプなんです。だったら、もっとアントラーズのために頑張りたい。今はアントラーズでいっぱいタイトルを獲りたいという気持ちのほうが強いんです」

◆鈴木優磨@前編はこちら>>鈴木優磨「早くアントラーズはタイトルを獲らなければ」。チームへの思いや自身のプレーが献身的になった理由も明かした

鈴木優磨の言動はすべて「アントラーズのため」鈴木優磨の言動はすべて「アントラーズのため」この記事に関連する写真を見る あまりに素直に話すものだから、偽らざる思いだということはすぐに理解できた。

「だって、そのほうがこのチームのファンやサポーターの心や記憶に刻まれるじゃないですか。そのくらい自分は鹿島っ子だから。このクラブは俺の一部というか。だから、鹿島のためにプレーしている自分のほうが好きかな。それにこのクラブのことが好きだから、そっちのほうがプレーしていても気持ちが入るんですよね」

 鹿島っ子----千葉県銚子生まれだが、小学生の時から鹿島アントラーズのスクールに通い、アカデミーで育ってきた。童心に返ったかのように、クラブのことを話す彼は、この日一番の笑顔を見せた。

「自分はずっとこのクラブを見てきたから、このクラブのすごさも知っている。それを取り戻すためにすべての力を使いたいと思っているから、よそ見をしている暇なんてないんです」

「だって」と言って、2年半ぶりに復帰して、カシマスタジアムでプレーする思いを語った。

「本当に帰ってきて思いますけど、カシマスタジアムってすごい力があるなって。0−2、0−3だろうが、俺はそこまで苦じゃないと思っている。力が発揮できれば、残り15分だろうが、10分だろうが2点、3点くらいは奪える雰囲気がある。

 それくらいの力がこのスタジアムには宿っているなって、帰ってきて改めて感じる。あのファンとサポーターが一緒に戦ってくれれば、どんなことも成し遂げられると自信を持って言えます」

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【画像】国内三冠を達成した2000年「最強を誇った」鹿島アントラーズのフォーメーション

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