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鈴木優磨は日本代表に執着しない。「俺みたいなサッカー選手がいてもいいと思いません?」 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

鹿島というクラブのDNA

「それに」と言って、まだまだ言葉は続く。

「ひとりくらい俺みたいなサッカー選手がいてもいいと思うんです。選手として日本代表を目指すのはいいことだと思います。だからこそ、逆に俺みたいにクラブのためにプレーする選手がいることも受け入れてほしいなと思います。だって、人それぞれじゃないですか。どんな選手がいてもいいと思いません?」

 ストライカーとしての得点力、決定機を演出するアシスト力もさることながら、鹿島に戻ってきた鈴木のプレーから"チーム"という単位を感じるのは、そのためだろう。相手に立ち向かっていく姿勢、スタジアムのファン・サポーターをあおる行為、タイミングも含めて、彼には明確に「何のためにプレーしているか」という"魂"が宿っている。

 そんな鈴木は、いつから個ではなく、チームのことを考えるようになったのだろうか。

「(今季)帰ってきてからですよ。だって(ベルギーに)行く前なんて22歳ですからね。チームのことなんて考えてなかったです(笑)。それまでは自分が、自分がというか、自分のプレー、自分のプレーという考えをしていたように思います。でも、若い時はそれでいいと思うんですけどね」

 過去の自分を否定するのではなく、肯定する潔さに成長を実感する。同時に、鹿島というクラブのDNAも感じた。自分よりも年齢の若い選手が多くなった今、彼らに対してはこうメッセージを発信したからだ。

「自分自身も若いころは、自分のことで精一杯だった。自分の調子がいいのか悪いのか、自分が試合に出られるのか出られないのか、試合に出てもゴールを決められるのかアシストできるのか。自分のことばかりにフォーカスしていた。

 でも、若い時はそれが結果的にチームのためになっている。あとは、今でいえば、経験のある(土居)聖真くんや(三竿)健斗とか自分が、チームとして戦う方向や目指すベクトルを示してあげればいい。だって、自分も若い時には、(小笠原)満男さんをはじめとする先輩たちに、バランスを取ってもらったり、ゲームや時間帯をコントロールしてもらったりしていましたから。

 だから、自分は自分の結果だけを考えて突っ走ることができていた。今度は自分がチームとしてバランスを取ることをやる順番だし、それは絶対にやらなければいけない」

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