浦和レッズが地の利を生かして圧勝。西川周作は「秘策」も用意、「いつもどおり」が功を奏した (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 そこで浦和が採った策は、コイントスでホームサイドをとり、いつもどおりに試合を始めることだった。

 運悪く、コイントスに勝ったのはJDTだったが、相手キャプテンのGKファリザル・マルリアスがボールを選択すると、西川はすかさずサイドを入れ替えた。

 はたして、結果は冒頭に記したとおり。いつものようにホーム側ゴール裏に陣取っていたサポーターの大声援を背に受け、前半のピッチに立った浦和の選手たちは、試合序盤からJDTを圧倒し続けた。

 リカルド・ロドリゲス監督が語る。

「立ち上がりがとてもよかった。前半はすばらしいサッカーができ、3-0にすることができた。後半は難しくなったが、2点を追加でき、無失点で終えられてよかった」

 前半なかばまでにDFアレクサンダー・ショルツのPKと、MFダヴィド・モーベルグのFKで2点のリードを奪った浦和。終わってみれば、外国人選手3人が計5点を叩き出しての快勝だった。

「サポーターが僕らを勝たせてくれた。後押しを受けていい結果を残せてよかった」(MF岩尾憲)

「(埼玉スタジアムでの試合は)我々にアドバンテージがある。その分、背負うものもあるが、ポジティブにとらえている。よい形で常に試合を迎えられる」(FWキャスパー・ユンカー)

 選手の口からもそうした声が聞かれたように、埼玉スタジアムで開催される今回のACLで、浦和に大きなアドバンテージがあることは間違いない。今後、準々決勝、準決勝と勝ち上がっていけば、さらにサポーターの数が増えていくことも期待できる。

 まして、このところの浦和は、一時期の勝利から見放されていた頃がウソのような状態にある。

「チームが勢いを持っている。それが結果につながり、得点に表れているのはすばらしいことだ」

 ユンカーがそう語ったように、この試合も含め、浦和が最近の公式戦3試合で奪った得点は、実に14点。しかも、すべて無失点での3連勝だ。

「集中して、いいプレーを続けることが大事だった。(J1第25節で)ジュビロ磐田に6-0で勝ったあとだったので、気の緩みなく戦わなければならなかった」

 リカルド・ロドリゲス監督がそう語り、逆に油断を心配しなければならないほどの強さを見せている。

 急角度の右肩上がりで迎えた短期決戦のACL。加えて、すべての試合を実質ホームで戦えるとあっては、時を同じくしてさまざまな条件がかみ合い、あたかも浦和の勝ち上がりを後押ししているかのようだ。

 地の利を持つ浦和強し――。

 今後の対戦相手に対しても、その事実を改めて印象づける圧勝劇だった。

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