浦和レッズが地の利を生かして圧勝。西川周作は「秘策」も用意、「いつもどおり」が功を奏した

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 試合前、両チームのキャプテンが行なうコイントスの時点で、すでに勝負は決していたのかもしれない。

 AFCチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦。浦和レッズは、マレーシアのジョホール・ダルル・タクジム(JDT)を5-0で下し、悠々とベスト8進出を決めた。

 この日、会場となった埼玉スタジアムに詰めかけた観衆は2万人あまり。6万人規模のスタジアムとしては寂しい数字とも言えるが、それでも"完全ホーム"と表現できるだけの雰囲気は十分に生まれていた。

 キャプテンのGK西川周作が振り返る。

「サポーターが(試合前の)ウォーミングアップの時から、"勝つ雰囲気"を作ってくれた。(西川がウォーミングアップを始めた時に)自分のチャントを3回くらい続けてやってくれて、それを聞いたときは鳥肌が立った」

サポーターの声援に後押しされて5-0と圧勝した浦和レッズサポーターの声援に後押しされて5-0と圧勝した浦和レッズこの記事に関連する写真を見る そしてキャプテンは、スタジアムの雰囲気を最大限味方につけるべく、ある"秘策"を採ったことを明かした。

「いつも(の埼玉スタジアムでの試合)と違うと思ったのは、ベンチの位置と入場の時。コイントスではサイドをとろうと、監督、コーチからも言われていた。"いつもどおりのスタートポジション"で戦えたのがよかった」

 今回のACLは、本来のホームアンドアウェー方式ではなく、ラウンドごとにセントラル(集中開催)方式で開催されている(現在行なわれている東地区の決勝トーナメント1回戦から準決勝までは、埼玉スタジアムと駒場競技場で開催)。

 この試合が埼玉スタジアムで行なわれたとはいえ、扱いとしては浦和のホームゲームではない。

 実際、この試合の浦和ベンチは、通常なら座るはずのないアウェー側(メインスタンドから見て右側)。試合前の選手入場の際も、浦和の選手はいつもの左側ではなく、右側に並び、ピッチに入ってきた。

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