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浦和レッズが急浮上の予感。「引き分け地獄」から抜け出すことができたのはなぜか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ロドリゲス監督が満足げに語る。

「チャンスも数多く作れたし、それをしっかりゴールにつなげられた。ディフェンスは前からプレスをかけ、途中から入った選手は勢いをもたらした。さらに追加点をとれる場面はあったが、全員がいい試合をしたと思っている」

 時間を5カ月ほど巻き戻せば、今季最初の公式戦である富士フィルムスーパーカップで、浦和は昨季J1王者の川崎フロンターレを2-0と下し、新たなシーズンに大いなる期待を抱かせていた。

 ところが、いざリーグ戦が開幕してみると、浦和は最初の6試合を1勝4敗1分けと痛恨の出遅れ。その後も、前述のとおりの"引き分け地獄"に悩まされていたのだが、富士フィルムスーパーカップで示した高いポテンシャルが、ようやくリーグ戦でも発揮され始めた格好だ。

「チームとしても、個人としても、改善、向上している」

 そう語るスペイン人指揮官は、日本代表戦の開催によりリーグ戦が中断された期間をうまく活用できたと振り返る。

「中断期間を挟みながら、全選手がそろってチーム全体での練習ができ、そこで積み重なってきているものがある。今季新加入の選手と既存の選手が一緒に練習する時間があまり多くなかったが、練習を積み重ねることで質が高まっている」

 FC東京戦を見ても、相手のプレスをはがしてボールを運ぶことができていたばかりでなく、ボールを失ったあとの回収も早かった。相手が前後半でシステムを変え、守備のやり方を変えてきてもなお、浦和のビルドアップは停滞することなく、むしろ時間とともに流麗なパスワークが際立つようにさえなっていった。

 引き分け続きだった頃は、ビルドアップから先、すなわちゴールを奪うことができずに苦しんだわけだが、この試合では高い決定力まで発揮することができたのだから、ロドリゲス監督が「完全な試合」と評したのもうなづけるところだ。

 とりわけ指揮官を喜ばせたのは、ゴールに至る豊富なバリエーションである。

 先制点は前線での守備から、FW松尾佑介が相手のパスミスを誘ってボールを奪うと、得意のドリブルでゴールラインギリギリまで切れ込み、フリーでゴール前に入ってきたモーベルグへラストパス。

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