川崎フロンターレが4-0の圧勝。窮地に立たされたチームに芽生えた逆襲への「変心」
2連覇中の王者・川崎フロンターレに"異変"が起きている。
川崎はJ1第21節終了現在、11勝5敗4分けの勝ち点37で3位(第20節分が延期となり、1試合消化が少ない)。順位だけを見れば、まずまずの位置につけているとも言えるが、注目すべきは負けの数だ。
連覇を果たした過去2シーズンを振り返ると、一昨季は3敗、昨季は2敗。川崎はほとんど負けることなく、驚異的な強さでいずれも頂点に立ってきた。
ところが、今季はすでに5敗。まだシーズンは折り返し地点を少し過ぎたばかりだというのに、過去2シーズン合計の負け数に並んでしまったのである。
優勝を逃した2019年(4位)でも6敗しかしていないのだから、今季の川崎がいかに多くの負けを喫しているかがよくわかる。
シーズン序盤は、決して悪いスタートではなかった。
開幕からの13試合は、9勝2敗2分け。過去2シーズンと比べてしまうと、それでも負けが多かったのは確かだが、むしろ以前が強すぎたと考えるべきだろう。
ところが、5月半ばを過ぎると、急失速。以降の7試合は、2勝3敗2分けと負けが先行する異常事態に陥っている。
しかも、第15、16節では4年ぶりの連敗。実に2018年の第12、13節以来となる屈辱を味わった。
振るわないのは、結果だけではない。内容的に見ても、以前ほどボールを支配して相手を押し込むことができず、多くのチャンスを作れない。
相手にしてみれば、守備だけに忙殺されることがないのだから、それだけ余裕が生まれ、攻撃準備を整えやすくなるのは当然だろう。
その結果、得点が大きく減る一方で、失点は増加。1試合平均で見ると、昨季がおよそ2.1得点、0.7失点だったのに対し、今季はおよそ1.5得点、1.1失点と、不振の様子は数字にもはっきりと表れている。
しかしながら、Jリーグ史上2クラブ目となる3連覇に王手をかけた川崎が、このままズルズルと優勝争いから後退したのでは、あまりに寂しい。
強すぎる川崎がいずれも独走でゴールテープを切った過去2年は、それはそれで寂しいシーズンだったのは確かだとしても、だからといって、王者の力が衰えた結果のタイトル移譲ではつまらない。王者が王者としての貫禄を見せるなか、その座を脅かす挑戦者が現れるからこそ、勝負事は面白いのだ。
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