「空気感が合っている」日本で成長を遂げたセルジ・サンペールが神戸をアジアの頂点に導く (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただ、失点というのは守備に回った時間だけで語れるものではなく、攻撃の時にいかにボールを長く保持することができるか、前線からのいいプレッシングができるか、といったチームの総合的な動きが関わってきます。そう考えると、攻守に連動した戦いができたシーズンだったと言えるのではないでしょうか。

 そしてもうひとつ、チームとして年間を通して偏りなく勝ち点を積み上げられたことも過去のシーズンにはなかった部分だと思います。夏にチームで最も得点を挙げていたキョウゴ(古橋亨梧/セルティック)が移籍をし、シーズン終盤にはホタル(山口蛍)がケガで離脱するといったアクシデントもありましたが、チームにとって"特別な選手"である彼らがいないなかでも、チームはそれまでの流れを継続して戦うことができました。

 そのことは、優勝争いに踏みとどまることにもつながりましたし、チームに大きな自信を植えつけました。この2つは今シーズンも継続したいと思っています」

 そうして、自信と手応えを積み上げて迎えた2022年シーズン。サンペールは、J1リーグ開幕戦から3試合続けて先発のピッチに立った。

 残念ながら、いずれの試合も白星はつかめなかったが、「今は自分たちに何ができて、何ができていないのかを明確にして改善していく時期」とサンペール。試合を戦いながら戦術を成熟させ、結果に近づきたいと前を向く。今シーズンも攻撃の起点となる彼への対策を講じてくるチームが多いと予想されるなかで、それを上回って結果を求める術もイメージできているようだ。

「昨年も自分へのマークが厳しくなったり、対策をされているなと感じる試合はありましたが、相手がどんな対策をしてきたとしても、チーム、組織として対応すれば問題ないと思っています。僕へのマークが厳しくなるのであれば、他の選手を経由して攻撃を組み立てればいいですし、そうしてチームとして相手を上回る術を考えながらプレーすることもサッカーの面白さだと思っています」

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