アルシンドが選んだ自身のベストゴールと日本のベストプレーヤーたち。「カズは外せない。井原は頭痛の種だった」 (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【「トモダチナラアタリマエ」はこうして生まれた】

 当時、私は鹿島でプレーしていて、その日は磐田に遠征していた。試合はいい結果に終わり、満足した気分でチームバスに乗り込んだ。バスにはまだほとんど誰も乗っておらず、私はリラックスして足を通路の反対側の椅子に載せ、体を伸ばして座っていた。最初に乗ってきたのはGK古川昌明だった。彼を通すために足をどけると、マサはお礼を言った。そこで私はこう返した。

「Amigo e pra isso mesmo(直訳すると「友はそのためにいる」)」

 彼はポルトガル語が少しわかったので、それを日本語にして返してくれた。

「友達なら当たり前」

 その後、チームメイトたちはそのフレーズが気に入ったのか、みんなが私に向かってそう言ってくるようになった。「おはよう、アルシンド」や、「こんにちは、アルシンド」の代わりに、「友達なら当たり前」と私に挨拶するのだ。

 私もその言葉が気に入って、インタビューを受けた際も、最後に「トモダチナラアタリマエ」と記者に言うと、めちゃくちゃ喜ばれた。「日本語がうまい」と褒められた。結局、それがCMでも使われるようになったというわけだ。子供たちは私を見かけるたびに「トモダチナラアタリマエ」と声をかけてきた。このフレーズが多少なりとも日本人に笑顔を届けることになったなら、うれしい限りだ。
(つづく)

アルシンド
本名アルシンド・サルトーリ。1967年10月21日生まれ。フラメンゴの下部組織で育ち、1986年トップデビュー。サンパウロ、グレミオを経て、1993年、鹿島アントラーズ移籍。Jリーグ開幕とともにゴールを量産する。その後、ヴェルディ川崎、コンサドーレ札幌でもプレー。いったんコリンチャンスなどに移るが、1997年には再びヴェルディ川崎でプレーしている。

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