サッカー日本代表で久保建英と相性がいいのは? 「若手のリーダー役」が選手の成長を促す
「(久保建英は)日ごろから(チームで)リーダーの立ち振る舞いをしてくれていますが、今回は特に新たに入る選手たちのリーダー役になってもらえればと思っています」
6月5日のオーストラリア戦、10日のインドネシア戦に向け、日本代表を率いる森保一監督はそう語り、久保建英について「リーダー的存在」を求めているという。
では、久保がリーダーとしてプレーしやすいのは、どんなチームメイトか。もし彼に相応の役割を求めるなら、それも考慮に入れるべきだろう。三笘薫と並んで、久保はそこまでの高みに辿り着いているのだ。
主力の多くが外れるなか、日本代表に招集された久保建英 photo by Nakashima Daisukeこの記事に関連する写真を見る「コンビネーションを高められるか」
それが久保と相性のいい選手の第一条件となるだろう。コンビネーションとなる素養としては、ビジョンの広さ、判断力、スモールスペースでのテクニック、そして左利きであることなどが挙げられる。ワンツーやフリックなど即興的プレーで相手を切り崩し、あるいはおとりになってくれることで、個人技術も余すところなく出せるのだ。
その点でレアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)の1年目は、まさに理想の布陣だった。
ダビド・シルバという天才レフティーがいたことで、久保は2トップの一角でプレーしていた。ふたりのコンビだけで、鮮やかにラインブレイク。トップにも左利きで高さがあり、ポストプレーに長けるアレクサンダー・セルロートがいた。インサイドハーフには左利きのテクニシャン、ブライス・メンデス、同じく左利きでスペースに入ってゴールを狙えるミケル・メリーノ、最高レベルのプレーメイカー、マルティン・スビメンディも擁していた。
それはダビド・シルバという別格レベルのテクニシャンがいてこそ成立した布陣だったが、久保が左利きの選手と調和を見せることは間違いない。ただ、日本には有力な左利き選手が限られており、代表で多くの人材は望めないだろう。左サイドバックという、本来は左利きがマストのポジションさえ、すでに力が衰えた長友佑都を選出するほど人材を欠く有様なのだから。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。