中村憲剛に最敬礼。17年前と重なる姿に、
新・鉄人伝説の始まりを見た (4ページ目)
そして、迎えた後半40分、中村は相手のミスパスを見逃さず、力なく転がったボールへ向かうと、GKのポジションを冷静に見極めてループシュート。昨季第28節の湘南ベルマーレ戦以来、およそ11カ月ぶりとなる得点は、自らの戦列復帰を祝う美しいゴールだった。
復帰戦の出場時間は、後半ロスタイムを含めても20分足らず。それでも、「最初から打とうと思ってはいなかった。その瞬間の自分のイメージとか、発想が出てきた」だけだと言いながら、短い時間に3本のシュートを放ち、1ゴールを決めた。月並みな言い方ではあるが、一連のプレーは長いブランクを感じさせないものだった。
中村自身、「(復帰戦で)点を取ったことで、次節以降のハードルが上がってしまった」と言いつつ、こう語る。
「それも今まで積み重なったものが出たわけだし、そこは自信を持ってやっていきたい」
鉄人は決して惑うことなく、「ケガをして以来、今日のこの日のためにすべてを捧げてやってきた」。時計の針が、また動き出した。
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