「普通のサッカーって何?」。
ぶれない永井秀樹をネルシーニョが激励 (5ページ目)
トップチームである以上、「勝利」を求められることは永井も十分理解していた。一方で、目先の勝ちにこだわるあまり崩壊したチームも見てきた。ましてや今のヴェルディは、格上相手に単純なサッカーで勝利できるような戦力は整っていない。ならばクラブの未来を作るためには、いま何をするべきか。永井は冷静に分析したうえで取り組もうとしているように思えた。
「『もっと普通にやればいいのに』と言われたりもする。でも、体格や体力に勝る相手と同じ戦い方をして勝てるのか。それが普通なのか。何を持って普通なのか。自分は、いま普通と思われているような考え方を変えたい。将来にわたり結果を出し続けることのできるチームにするためにも、なおさら今は、質の高いサッカーを追求することが大切だし、それは必ず、ヴェルディの未来につながると信じている」
インタビュー開始から2時間以上が経ち、日も落ち始めた。
「とにかく、ネルシーニョさんから言われた言葉ではないけれど、辛抱強くやり続けるしかないよね」
クラブハウス2階にある食堂から、永井はこれから練習を始めるジュニアユース選手たちの様子を見つめながらそう話した。
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