「普通のサッカーって何?」。
ぶれない永井秀樹をネルシーニョが激励 (4ページ目)
ユース監督1年目は、ある意味、それまでとは真逆な考えに選手たちは戸惑い、試合でも大敗が続いた。しかし2年目以降、「型」が出来始めると、高校王者の前橋育英から大量5点を奪い5-3で勝利を収めるなど結果もついてくるようになった。
永井の理想は、現代サッカーの起源でもある「トータルフットボール」。1974年、ヨハン・クライフを擁するオランダ代表のミケルス監督が採用したのが最初で、「ポジションは流動的で、全員攻撃、全員守備」というスタイルは、FCバルセロナを始め、いまなお世界のサッカーに多大なる影響を与えている。
体は小さくてもテクニックに長けた選手を多く輩出し、トップにも昇格させている今のヴェルディにとって、トータフルットボールを目指すことは理にかなっているように感じた。ヴェルディが育成型クラブを目指すならばなおのこと、永井の目指す方向性はむしろヴェルディの現実を踏まえたうえでの取り組みに思えた。
選手は勝利を追い求めると同時にサッカーの求道者。サッカー人として、自身のサッカーを高めたい、より学びたいという欲求を持つ選手にとって、永井と一緒にサッカーの本質を追求する日々は、決してつまらないものではないだろう。
練習開始前や終了後も、選手全員で自チームの分析や改善、目指すサッカーのイメージを研究する時間が圧倒的に増えた。汗を流して練習する、ジムで鍛える以外に、今のチームには「サッカーを研究する」という要素が加わっていた。
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