ジーコは意気込む。鹿島のために「現場に立ち、構築、修正していく」 (5ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

――それが、鹿島アントラーズのユニフォームを着ることの意味なのでしょうか? 袖を通す覚悟というか。

「そうですね。ここでは、常に勝利に対する意識、こだわりが求められるということを、今後このクラブに入ってくる選手にも伝えたい。また、様々な要求に応える姿勢を持ってほしい、持たなくてはならないと考えています。私自身、現役時代、引退後のいろいろな立場で、いくつもの要求がありました。その時々、それに応えようと、自分自身で考え、すべきことを探し、その要求に応えてきました。これは競争意識の高い人間が持つ当然の思考だと思います。

 要求される、要望されるというのは、どういうことなのかを考えなければなりません。要求は時には、注意や指導、指摘であるかもしれません。しかし、それに応えられる、それができる人だから、要求されるのです。できない人には何を言っても意味がありませんから、声をかける人は誰もいないでしょう。

 要求に応えるというのは、最低限のプロ意識です。だから、それを私は選手たちに持ってほしいと考えています」

――クラブの未来に対して、どういうビジョンを抱いていますか?

「鹿島アントラーズの仕事に就くわけですから、最初から高いモチベーションで来日しました。しかし、実際にクラブの現状を見たとき、『これをやらなくちゃいけない』『これも必要だな』とすべきことをたくさん見つけたわけです。そこで、『ここを改善してください』とレールだけを提案して、シーズンが終わる12月でクラブを去るのは、非常に意味のないことだと思います。その後も引き続き、現場に立ち、きちんと構築、修正しなければ、現在の半年間は無意味な時間になってしまいます。

 例えば、外国人選手の獲得に関しても、監督が、その外国人選手の能力に疑いを持ちながら起用するようなことがあってはいけない。私の外国人選手に対する哲学というのは、自分が現役時代だったときから変わりません。

 外国人選手というのは、日本人以上の力を持ち、それを示さなければいけないのです。外国人選手は助っ人選手なのですから。戦力として、プラスになるのは当然のことです。そして、それだけではなく、お手本として、日本人選手の成長を促すような、刺激を与える存在にならなければいけません。わざわざ来日して、日本人選手とポジション争いをするようでは、何の意味もありません。獲得に使った時間と資金が無駄になってしまいますから。だから、『こういう選手を獲得すればいい』と提案するだけではなく、獲得した選手にも責任を持たなければいけないと思っています」

――これからの鹿島アントラーズに期待することってなんでしょう?

「今後に関しては、予算を確保し、それを使う計画的なプロジェクトを実施していかなければなりません。クラブ、チームというのは良い人材がいて、さらに彼らが育っていくことが重要です。いろんな部分でのインフラ整備が大切になります。だから、そのための投資もしなければいけない。そうすれば、選手に対しても、厳しい要望や要求をし、もっと、プロとしての結果というものを求めることができるのではないかと考えています」

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