2018.10.06

ジーコは意気込む。鹿島のために
「現場に立ち、構築、修正していく」

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

遺伝子~鹿島アントラーズ 絶対勝利の哲学~(31)
ジーコ 後編

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 公式戦6連勝、4試合連続完封と3つの大会で勝利を重ねてきたチームが、開始6分で2失点を喫してしまう。

 2分、相手のコーナーキックから内田篤人が胸に当てたボールは自陣のゴール方向へ飛び、これをクォン・スンテがゴールライン上でかき出したが判定はオウンゴールとなった。6分には、山本脩斗が右サイドのスペースの無いところへ押し込まれ、そのボールを拾われてペナルティエリアに侵入を許し、シュートを決められた。

 リスタート直前、自然と選手たちが集まり、声を掛け合う。その輪のなかに、ゴールを守るクォン・スンテが遅れて入り、言葉を発した。

「まだ80分ある。ここはホーム。まずは1点、1点返すことを考えよう」

 スンテはそう語ったという。

「このままやり方を変えずにやろうと話し合った」三竿健斗が振り返る。

 なんとか、落ち着きを取り戻したかのように見えたが、それでも安定感があったわけではない。2点のビハインドは決して小さくはない。2-0は危険なスコアとはサッカー界ではよく言われる話だが、国際試合のホームアンドアウェーで、相手にアウェーゴールを許すことの意味は、リーグ戦以上に大きい。まずは1点を返す。その想いがはやるからなのか、寄せの早い相手を前にして、ボールを失う場面も少なくはなかった。

 好調の最大要因、ピースとなっていたボランチのレオ・シルバはこの日出場停止。チームは、まるで体幹が崩れたかのような不安定さを払しょくできなかった。歯車が上手く回っていない印象はぬぐえない。

 21分にオウンゴールで1点を返したあとも、攻め続けたが逆にカウンターで攻撃を受けるシーンもあった。これ以上は失点できない。しかし点を獲らないと勝てない。当然のジレンマを抱えていたはずだ。