2018.10.07

アンジェvs.ミシャ。J1最上級のスペクタクル対決の戦術を分析する

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 エンターテインメントとパーフェクション──。雨の日産スタジアムで行なわれた横浜F・マリノス対コンサドーレ札幌戦を観ながら、そんなことを考えた。

 娯楽性に富む試合だった。就任1年目、外国籍、元代表選手、ポゼッションスタイルの信奉者と、共通項の多い両指揮官に率いられたチームは開始からずっと意識が前に向いていた。

 たっぷりと水を含んだピッチをものともせず、どちらも自陣の低い位置からグラウンダーのパスをつなぎ、相手ゴールを目指していく。GKでさえもフェイントを交えて敵の裏をかき、全員が少ないタッチでボールを回し、しかるべき場面では勝負を挑む。これが片方のチームだけではないのだから、観ている者はつい声を発し、体を乗り出すことになる。

今季から横浜FMの指揮を執るポステコグルー監督 最初にリズムをつかんだのは、アンジェ・ポステコグルー監督が指揮するホームの横浜だ。ポゼッションの際にSBが中央に入り、ボールの保持率を高める。ワイドに張って幅をつくるのはウイングの役割で、中央のSBやボランチからサイドに展開されると攻略が始まる。

 ペップ・グアルディオラ監督(マンチェスター・シティ)の手法から着想を得ているはずのドラスティックな戦術は当初、志の高さとは裏腹に、粗が目立つことが多かった。しかしこの日は、人の移動もボールの流れもスムーズで、完成度の高まりを感じさせた。ここまで2連勝。それは数字にも表れている。