ジーコが鹿島を称賛。「引き継ぎ、
やり続けたことが成果になっている」 (5ページ目)
――エゴが集まっても組織の強さには繋がらない。
「お互いを尊重し合い、誠実に接することが、強くて良い組織、形作りに繋がるんです。サッカーで例えるとわかりやすいかもしれません。どんなに優秀な選手、能力の高い選手がいても、結果の出ないクラブは世界中にあります。『俺が俺が』というように、『俺がPKを蹴りたい』とか、選手がそれぞれ自己主張して、チーム内がバラバラになり、ゴチャゴチャと問題が起きれば、結果には繋がらないんです」
――なるほど。
「世界のプロサッカー界でこういう問題が起きる一因には、メディアの影響もあると思います。メディアが作るスターシステムの悪影響ですね。サッカーはチームスポーツであるにも関わらず、メディアは個人の結果、個人の記録ばかりを大々的に取り上げるからです。ようは、何回バロンドールを獲得したとか、得点王に輝いたとかが重要ではないんです。大事なのは『何度優勝したのか?』『どれくらい優勝に貢献したのか?』であるべきなのに。これはとても大きな問題だと思います」
――得点者だけを持ち上げるのは分かりやすいけれど、本質を見失う。
「そして、クラブと選手との契約にも問題はあります。クラブが選手のゴール数、アシスト数といった個人成績に対してボーナスを設定していることです。そうなれば、選手が個人成績に注力してしまう。わかりやすい数字、個人成績をあげれば、さらに良い条件で移籍ができる。そういうサイクルが生じているんです。
これには、クラブの経営がオーナー制度であることにも原因があると思っています。オーナーが独断と偏見で、スター選手を手に入れ、スターに好条件を与えるからです。サッカーは団体競技である以上、そのクラブ、そのチームに対して、忠誠心を示し、いかに勝利、優勝に貢献したのか。優勝メンバーであったことがもっとも評価されるべきだと思います。しかし、個人にスポットライトを当てる報道の仕方、選手の扱い方については、メディアの皆さんにも考えてもらいたい点ではあります」
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