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ジーコが鹿島を称賛。「引き継ぎ、
やり続けたことが成果になっている」 (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • 井坂英樹●写真 photo by Isaka Hideki

――ひとつずつ教えてください。最初に献身。

「献身っていうのは努力ということでもあります。ポルトガル語を直訳すると、ハードワークになります。サッカーに限らず、どんな仕事においても、日々一生懸命取り組むということです。一生懸命、全力を尽くすのは、ごく当たり前のことですが、それを当たり前にできるかできないかで、人生が変わってきます」

――続いて、誠実。

「スポーツという競争社会、ましてやプロスポーツは目立つ世界であり、華やかな世界でもあります。だから、どうしても個人のエゴが生まれやすいんだと思います。しかし、仲間に対して誠実に接すること、誠実さがなければ素晴らしい関係は生まれないし、よい空気、雰囲気は作れないし、歓喜の瞬間を味わうことはできません」

――そして、尊重。

「尊重というのは、さまざまなことに対して非常に重要な姿勢です。社会、組織、クラブのルールなど規律を尊重すること。そして仲間、相手、レフリーを尊重する姿勢。たとえば、自分が試合に出ているうちはよいけれど、ベンチスタートになったり、出場機会が減ったりすることもあります。そんなふうに自分の立場が変わったとしても、自分の代わりに出場するメンバーに対して、尊重する心がなければいけません。簡単に言えば、人としての道理や礼儀をわきまえること。その心を尊重という言葉で表現させてもらいました」

――非常にシンプルですが、大切な言葉ですね。

「たとえば、クラブには監督がいて、コーチ、テクニカル、メディカル、通訳とさまざまなスタッフがいます。そして、選手がいて、フロントがいて、掃除や洗濯を担うスタッフ、チケットを販売する人、スポンサーを担当する営業など、本当にいろいろな仕事を務める人間が働いています。懸命に仕事をするあまり、自分が目立つことを最優先する人、自分のことだけを考える人間がいたら、おそらくよい結果は出せません。団体スポーツであるサッカー同様に組織も同じなのです。  

 まず、第一に考えるのは、自分のことではなく、最優先させるべきはチーム、クラブ、組織であるべきです。そうでなければ、どこかの部署、あるいは、誰かが崩れると、すべてが崩れてしまうという状況になってしまいます」

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