清水エスパルス、残留争いから脱出。
「しぶとさ」もたらす2トップの力
9月29日、味の素スタジアム。10位の清水エスパルスは、3位のFC東京を敵地で0-2と打ち破っている。勝てば上位への視界は広がるが、負けた場合は完全に残留争いに巻き込まれる。緊迫した状況での勝ち点3は、大きな意味を持っていた。
「今シーズンは一度も降格圏に落ちてはいないので、チームの雰囲気は悪くないですよ。(残留争いと)ナーバスにはなっていません。(負けが込んで)危なくなると勝っているし、しぶといところはあるかなぁと」
昨シーズン、ヒリヒリした残留戦を戦ったFWの長谷川悠は、試合後に訥々(とつとつ)と証言している。
FC東京を下して、残留争いから脱した清水。その「しぶとさ」の根っこはどこにあるのだろうか。
FC東京戦で先制ゴールを決めた北川航也(中央/清水エスパルス) 台風24号が忍び寄る影響で、雨中での一戦だった。そんなコンディションもあったのだろうか。前半の攻防は膠着気味だった。
FC東京は森重真人、チャン・ヒョンスのセンターバック、ボランチの橋本拳人が常に三角形を組み、ゴール正面への通路を遮断。ほとんど攻め手を与えていない。彼らの守りのリズムだった。一方の清水も慎重だった。
「まずは守備から入る、という共通意識でプレーしていた」(清水・GK六反勇治)
前節のガンバ大阪戦では立ち上がりで失点したことで、前半はむしろ、やや守備に重心を置き過ぎていたか。前線が孤立し、金子翔太が遊撃兵のようにサイドから切り込むも、攻撃は単発だった。
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