2018.10.01

戦術浸透もベガルタに物足りなさ。
答えは野津田と板倉が持っている

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 立ち上がりから猛攻を受けるなか、2ヵ月前の悪夢を思い出した人も多かったに違いない。7月18日にホームで行なわれたJ1リーグ第16節――。ベガルタ仙台は2−8という、まるで野球のようなスコアで横浜F・マリノスに大敗を喫していた。

横浜FMのハイプレスに仙台は反撃の一手を打てなかった そのリベンジを期して臨んだ、敵地での一戦。しかし、序盤から相手にボールを握られると、次々に際どいシュートを放たれる。ウーゴ・ヴィエイラのボレーがポストを叩いたときにはまだ運が残っていたが、21分に山中亮輔に豪快なミドルを叩き込まれると、悪夢は現実のものになりかけた。

 それでもこの日の仙台は、ひと味違った。2分後に野津田岳人のシュートがオウンゴールを誘発し、すぐさま同点に追いつく。全体が押し上がり、高い位置でうまく連動したことによってもたらされた同点弾は、結果的にオウンゴールだったとはいえ、仙台の攻撃のクオリティを示すものだった。

 しかし、そんな姿を見せたのはこのときまで。以降はふたたび横浜FMの猛攻にさらされてしまう。37分には仲川輝人に独走を許して勝ち越しゴールを奪われると、後半立ち上がりにも左サイドを崩されて、またも仲川に決められる。その後にもウーゴ・ヴィエイラに2点を許し、終了間際にPKで1点を返したものの、2−5とふたたび大差で横浜FMの返り討ちにあった。

「前回はホームで8点を獲られて、今日もまた5点じゃないかと思う人もいるでしょうが、中身としては全然違ったものだったと思います。この間のゲームとは違ったものを見せることができた。選手たちも勇敢に戦ってくれたと思います」

 仙台の渡邉晋監督はあくまで前向きに試合を振り返ったが、スコアは両者の力関係を正当に物語っていた。

 この日の仙台は、自在なポジショニングで前線に枚数をかけてくる横浜FMに対し、後方でしのぐ戦い方を選択。ボールを奪ってすぐさま切り替え、バランスを崩して攻めてくる相手の裏のスペースを突く狙いがあったのだ。