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サンフレッチェの「ロケットスタート」は
春の椿事なのか、それとも... (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 広島は試合開始直後の3分に与えたPKで先制を許すと、9分にも自陣からパスをつなごうとしたところでボールを奪われ、あっという間に2点を失った。

 両チームが1点ずつを奪い合った後半は、テンポよくボールを前へ運んでいく今季の広島らしい攻撃が見られたものの、結局、序盤に献上した2点が重くのしかかった。GK林卓人が「自分が(2失点目につながったビルドアップの)スタートだったので悔いが残る。0-1で(後半の)攻勢の時間を迎えられれば試合はわからなかったのに......」と、立ち上がりの"自滅"を悔しがった通りだ。

 試合の入り方を除けば、よくも悪くも、今までの内容と大きく変わるものではなかった。

 だからこそ、「連敗しないことだけをしっかり考えてやりたい。気持ちの修正をして、(敗戦を)引きずらないことが大事」(柏)ということに尽きる。

 これまでの試合内容を考えれば、10試合目にしてようやく喫した初黒星も、ついに来るべきときが来たにすぎない。ここまでの間に十分な貯金を蓄えているのだから、重要なことは、ひとつやふたつ負けても慌てないこと。「10試合でひとつしか負けていないのだから、焦る必要はない」(FWパトリック)。怖いのは、この敗戦をきっかけに半信半疑の"疑"ばかりが大きくなってしまうことである。

 青山は、「見ている人たちは、ここから広島は落ちていくと思っているだろうが......」と自虐的な言葉をつけ加えて、こう語る。

「ここまでの10試合を自信にすべき。ここからが大事だとみんなわかっている。(初黒星をきっかけに崩れて)ガタガタッといってしまうと、去年(の残留争いで)学んだことが無意味になる」

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