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「禁断の移籍」組が熱戦を点火。
5万人を黙らせた、さいたまダービー (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 大宮にとってはある種の幸運が、浦和にとっては戦い方の問題が、たしかにそこにはあった。だが、試合がふたたび振り出しに戻ったことにより、埼玉スタジアムの熱狂はさらに高まっていく。

 そこからはまさに、ノーガードの撃ち合いとなった。青木のスルーパスに武藤が抜け出せば、大宮はFWドラガン・ムルジャが単独で仕掛けて強引にフィニッシュに持ち込む。関根のクロスをズラタンが頭で合わせると、返し刀でMF泉澤仁が左サイドを攻略し、FWネイツ・ペチュニクの決定機を導き出す。

 互いのゴール前を行き来し、チャンスとピンチが目まぐるしく入れ替わる。ゴールを奪うという執念と、絶対にやらせないという意地。柏木の決定的なヘッドを加藤がセーブするというリベンジのシナリオが終盤に組み込まれていたのは、ちょっと出来過ぎではあったが......。

 どちらも自らのスタイルを示せず、思いどおりの戦いができなかったかもしれない。試合運びの拙(つたな)さも、もちろんあっただろう。しかし、観る者の心を動かすエンターテイメントとしてとらえれば、それは実に良質なゲームだった。

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